新型iPadの購入を踏みとどまるまで【手持ちのカードで戦え】

iPadAirをイケイケに見せる巧みな戦略に釣られる

去る3月9日、Appleの新製品発表会イベントが行われた。

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当時の盛り上がりこそないが、毎度期待はしてしまう。(Apple公式サイトより)

私自身、特にApple信者ではないと自覚しているものの、ガラケーからスマホに切り替えて以来iPhoneユーザーであるからか、今日までにiPad無印(第6世代)やMacBookAir(2019)という中途半端ではあるが2つのApple製品を追加購入している。―まんまとAppleの術中だ。

そして今年、これまでのリーク情報からiPhone SE(第3世代)の登場が噂された新製品発表会。事前リーク通りに登場したiPhoneSE(第3世代)はiPhoneSE(第2世代)と見た目が全く変わらない。まるでSEがSpecialEditionという使命を忘れてしまったかの如く、「SEライン」を築きあげているようで、私は悲しさや虚しさを覚えた。

その一方で同時に発表されたiPadAir(第5世代)。最上位モデルのiPadPro同様にM1チップ搭載、カラーバリエーションも豊富とあって輝いて見えた。ほんの数分前までiPadの購入など頭の片隅にもなかったのに、気が付けば「iPadで出来ること」をググる等、愚かにもiPadを買う理由を探し始めていたのである。Appleが当初から上げて落とす作戦をとったのかは知る由もないが、結果として彼らは視聴者の購買意欲を煽ることに成功したのだ。

最高の”ファッションアイテム”

iPhoneSE(第3世代)が期待ほどでもなかったことでポッカリとあいてしまった心の隙間を埋めてくれたiPadAir(第5世代)であるが、冷静に考えてみれば、M1チップを搭載したから何なんだほとんどのApple信者たちは新製品が出るたびに「最高」とか「待ってた」とか言うくせに、さらにその次が出ると「うん、実は気になってたここが改善されててうれしい!」などと心変わりし、終いには「Appleありがとう!」と謎の感謝をする傾向にあるように思うが、さすがに今回は型落ちとなるiPadAir(第4世代)を貶める信者は現れないだろう。…甘いか。

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驚異的なM1チップが、iPadAirにやってきました。(Apple公式サイトより)

閑話休題そもそも「iPadで出来ること」を調べている時点で、今の私が生活を送るうえでiPadがなければならない理由がないことの証左である。ところがこれは一目惚れ。YoutubeのレコメンドがiPadレビュー動画ばかりになるのにそう時間はかからなかった。

いつか購入したiPad無印(第6世代)が寝ているではないか

1か月ほど前、テレビ関係の会社に転職した知人が大きなiPad(おそらくiPadPro)を見せながら、私に動画編集の将来性を説いたことを思い出した。私も大昔、Win機にて動画編集をしたことがあったので。知人と別れた後、家に着くやいなやMacBookAirを開き、「俺にも天性の才能があるはず」とiMovieを起動してみる。・・・・・・・・・・。やる気が出ない。なぜだ。とりあえじ、iPadじゃないから、スタイリッシュじゃないからやる気が出ないということにした。もはや論理破綻もいいところであるが、とりあえずこれをiPad購入の口実にすることにした。

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知人は板一枚で動画編集してるのかぁ…カッコいいなぁ…

MacBookAirは贔屓なしに見てもスタイリッシュなコンピュータだと思う。だがそういう次元の問題ではもはやないのだ。魔法の板で魔法をかけたい、魔法使いになりたいという気持ちがもう暴走してしまっているのだ。脳内では、湖の見える芝生の上に寝ころびながら、流行りのトートバッグからおもむろにiPadを取り出し、スタバ片手に指一本でさらさらと作業をこなしていくイケメンな自分が生成されている。

ところがそれを恨めしそうに眺める姿がある。部屋の隅、読まなくなった本が積みあがる一角、それらに押しつぶされているiPad無印(第6世代)だ。ああ、そういえばそんなもの持ってたな、と正直思った。実際のところ、iPadの使い方を調べている最中も、スタバ片手にイケメンやってる妄想がさく裂しているときも、iPad無印(第6世代)は想定していなかった。しかし思い返せば、iPad無印(第6世代)を購入した時だって、きっと無限の可能性を感じていたに違いない。

次の日から、iPad無印(第6世代)を褒めたたえるYouTubeを何度も何度も見た。

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カフェで朝食をとりながらiPad無印(第6世代)と戯れた優雅な思い出

Apple信者に対する懺悔

当時、iPad無印(第6世代)を「最高!」となで回していたApple信者たちは、iPadAirが現行のデザインに変更された瞬間に無印iPadを”初心者向け”"サブ機相当"扱いし始めた。おそらく、本当のことだろう。しかしその"初心者向け"iPadの性能がフラッグシップだったときもある。と考えれば、初心者向けだろうがサブ機相当だろうが、実際に使ってみて、どこまでやれるのかを検証してみなければ、無印iPadの本当の価値は見いだせないだろう。

ところがどうか。私はろくに使いもせずに、知った顔で「Apple信者は心変わりするから~…」などと自分の狭い了見で物事を見ていたのではないか。もしこれまでの私の考えが信者たちに届いていたのなら、「難癖をつける前にiPad無印(第6世代)で動画の1本でも編集してみろよ」と叱られていただろう。

とりあえず、購入予算は一旦貯金に回すことにして、まずは今できることを確かめたいと思う。